名曲「埴生の宿」の誕生ヒストリー 作詞作曲はだれ?

ふる里恋しいのはどの季節であろうか。筆者の思いならば一番は木の葉の色づきが始まったころであろうか。

裏山の岩肌に上り詰めた蔦(つた)などの葉っぱが上から赤、橙、黄と色づきが順に降りてくるころである。

 

なぜか思い出される曲が童謡の「もみじ」のほか「埴生の、郷愁宿」なのである。中学生の時に先輩たちが「ビルマの竪琴」の劇を演じ、その時劇中歌で聞いたのがこの「埴生の宿」である。感動のあまり涙したことが今でも心に残りと重なるのである。

 

「埴生の宿」について興味深い記事を朝日新聞のサンデー誌(2019年)の記事を読みノートしたものです。

 

名曲「埴生の宿」の誕生ヒストリー

 

第二次世界大戦末期のビルマ(三ヤンマー)の山中、日本軍の部隊が「埴生の宿」を歌い終えて突撃しようとした寸前、取り囲んでいた英国兵から歌声が上がった。

 

同じメロディーの英語の歌「ホーム・スイート・ホーム」だ。敵味方は合掌し手を握り合った。終戦から三年後に出た竹山道夫の小説「ビルマの竪琴」の名場面だ。

 

名曲「埴生の宿」の誕生秘話 作詞作曲は

 

国境を越えて郷愁を誘うこの歌に浸りつつも疑問を抱いたことはないだろうか。

 

「埴生の宿」ってどんな家?・辞書には「貧しい小さな家」とある。「埴」は埴輪に使われたような赤い粘土のことだ。

「埴生の宿」の原曲が「ホーム・スイート・ホーム」だ。

 

米国の俳優で劇作家のジョン・ハワード・ペインが1822年に作詞した。それを文部省の里見義が訳詞したのが「埴生の宿」である。1889年(明治22年)の「中等唱歌集」に収められた。

 

ならば、米国に「ホーム・スイート・ホーム」のモデルがあるのではないか。

 

名曲「埴生の宿」のモデルハウスになったふる里は

 

探すと200年近く経た今もそれはあった。

 

米国東部にカニの爪のような形をした島、ロングアイランドがある。ここがペインの故郷だ。

摩天楼のニューヨークから電車で3時間、海沿いにブドウ畑や松林が広がる。

 

島の東部の町イーストハンプトン駅で降りる。車で5分走ると板葺きの古い家に着いた。

これがペインが作詞の際に思い浮かべたといわれる家だ。現在は「ホーム・スイート・ホーム記念館」になっている。

建てられたのは約300年前で米国独立以前だ。

 

北側の屋根は地面近くまで延び巨大な風車が隣に立つ、ブドウ棚をくぐって家に入ると暖炉の部屋だ。

6畳ほどの部屋には18世紀の柱時計が今も動く。ペインの肖像画や自筆の手紙が壁に掛かる。

ビクトリア時代の英国の食器がテーブルに置いてある。急な階段を上ると2階は寝室だ。

 

名曲「 Home! Sweet Home!」の作詞「ペイン氏」の人物像は

 

「ペインは米国が生んだ偉大な俳優です」とヒュー・キング館長は言う。ペインは14才で劇評を書き、16才で俳優になった。

 

米国で初めてハムレットを演じ、21才で英国に渡ってロンドンでも舞台に上がり、戯曲を書いた。その一つが「クラリミラノの乙女」だ。

この劇中歌として「 Home! Sweet Home!(ホーム・スイート・ホーム)」は作られた。

 

貧しい娘が侯爵に求婚されるが、身分の違いで結婚できない。悲しんだ娘が故郷をしのんで歌うのがこの曲だ。

 

「ペインが米国を離れて10年、ホームシックになった彼自身の想いがあふれている」とキング館長は言う。

 

当時は俳優の地位は低くペインは貧しかった。

 

「フランケンシュタイン」を書いた英国の女性作家シェリー(1794~1851)に恋したが見向きもされず、生涯結婚しなかった。

 

晩年は米国に戻って先住民インディアンの人権を擁護し、最後はチェニス領事となり、アフリカで孤独に亡くなった。

 

両親は10代で失っている「家庭を歌う家庭を持たない詩人」と言われた。

 

歌は世界で愛された。

 

米国の南北戦争の際には、川を挟んだ南北軍の兵士はコーヒーやタバコを交換した。

「ビルマの竪琴」のようなことが、じっさいの戦場で起きたのだ。

 

そんな史実を話しつつキング館長は古い手紙の束を取り出した。

半世紀前以上前に日本から記念館に郵送されたものだ。

 

「埴生の宿」をめぐり、大戦をはさんで続いた日米両国民の友情の証だった。 出典【朝日新聞2019年8月29日sunday版の記事「旅の歌」】

 

「埴生の宿」の歌詞

訳詞:里見 義(さとみ ただし)

埴生の宿も わが宿
玉のよそい うらやまじ
のどかなりや 春のそら
花はあるじ 鳥は友
おお わが宿よ たのしとも たのもしや

ふみよむ窓も わが窓
瑠璃の床も うらやまじ
きよらなりや 秋の夜半(よわ)
月はあるじ むしは友
おお わが窓よ
たのしとも たのもしや

 

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